建設業許可

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建設業許可とは?

「建設業を始めるには必ず許可を取得しないといけない!」

このように考えてしまいがちですが、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合は許可は不要と定められています。

この「軽微な建設工事」については以下のとおり定められています(個人事業主でも法人でも同様に考えます)

建設一式工事

工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

※上記金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。

建設一式工事以外の工事

工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

※上記金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。

上記の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合には許可は不要である一方、これ以外の工事を請け負う場合には建設業許可を取得する必要があります。

このように思われるかもしれませんが、建設業許可を取ることには数多くのメリットが存在します

ここでは、大きく分けて2つの利点を見ていきましょう。

規模の大きな工事が請け負える

先述内容の繰り返しになってしまいますが、建設業許可を得ることで請負金額が500万円以上の工事を請け負うことができます。

「500万円未満の工事しか絶対にやらない!」と決めている場合はともかく、将来的に大きな工事を請け負いたい場合には許可を受けておいたほうが賢明です(許可条件も年々厳しくなってきています・・・)

社会的信用が高まる

建設業許可を持っているということは、”一定の経験がある建設業者”であることを公的に証明されていることを意味します。

業務発注の要件に「建設業許可の有無」を掲げている元請会社もあるため、迷っている場合は取るに越したことはないと思います。

また、社会的信用がゆえに融資を受けやすいことも特筆すべき点として挙げておきますね!

建設業許可の種類は?

ここまで建設業の概要と取得メリットを見てきました。

ここからは、建設業許可の種類を①29業種、②一般・特定、③知事・大臣の3つに分けてみていこうと思います!

29業種

以下のとおり29種類に分けられます。

(国土交通省『業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正) 』より引用)

これほど多いと読むのも嫌になってしまいますが、500万円以上の規模で請け負いたい工事の内容をもとに必要な許可申請を探す、いわば「辞書」的な使い方で問題ありません

「この工事はどれに当てはまるんやろ?」と微妙なものもありますが、当事務所にご依頼いただいた場合には行政庁との事前調整を通して適切な許可を把握したうえで申請を行うのでご安心ください。

一般建設業許可 vs 特定建設業許可

次の分け方は一般建設業許可特定建設業許可です。

一般建設業許可

建設工事を下請に出さない場合や、下請に出した場合でも1件の工事代金が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)未満の場合に必要な許可

特定建設業許可

発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の額(下請契約が複数あるときはその総額)が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上となる建設工事を施工する場合に必要な許可

ここで注意しておきたいこととして、ひとつの建設業について一般と特定の両方の許可を取得することはできないことが挙げられます。

そのため、例えば解体工事について一般と特別の両方の許可を受けることはできません。

知事許可 vs 国土交通大臣許可

建設業許可の種類③知事・大臣

許可を取ろうとする法人や個人の営業所の所在地によって変わります。

知事許可

1つの都道府県に営業所がある場合(同一都道府県に複数事務所がある場合も知事許可でOK)

国土交通大臣許可

2つ以上の都道府県に営業所がある場合

勘違いしやすいのですが、建設工事自体は営業所の所在地に関わらずどこででも行うことができます
たとえば、大阪府知事から許可を受けた建設会社の場合、営業活動は大阪府内のみとなりますが、その本支店における契約に基づいた工事は大阪府以外でも可能なわけです。

建設業の許可要件

①経営業務の管理責任者を配置すること

経営業務の管理責任者は通常「ケーカン」とよばれ、許可を受けるうえでは必ず配置しないといけません。

許可を受けると大きな工事を受注できるようになるのに、「建設業経営経験が皆無の人」が経営していると信用できないためこのような制度が設けられています。

また、ケーカンになるための条件はいくつかありますが、基本的には以下のいずれかの条件で満たすことが多いです。

条件1

建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する

条件2

建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する

ここでの「経営業務の管理責任者としての経験」について、法人での経験をもとにする場合には「取締役としての経験」が求められます。

また、条件2については「親の建設業を手伝っていた」みたいな場合に該当する可能性があります。

ケーカンについては他法人等との「兼任」が認められないため、専属の人材を用意する必要がある点注意が必要です。

②専任技術者がいること

許可を受けるためには、許可を取りたい業種の技術部門の責任者をおく必要があります。

これについてもケーカン同様誰でもなれるわけではなく、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

条件1

10年以上の実務経験を有する

条件2

指定学科卒業+3年or5年の実務経験を有する

条件3

有資格者

実務経験については、取得したい許可の業種に関する経験が必要であり、複数業種で重複して数えることはできません。

具体的に言うと、鉄筋工事とガラス工事の経験を2011年~2020年の10年間積んだ場合、両業種合わせて10年の実務経験としかみなせず、それぞれ10年ずつ経験したことにはできません。

また、専任技術者についてもケーカンと同じく「専属」である必要があります。

③財産的基礎を有すること

これについては、以下いずれかの条件を満たせば大丈夫です。

条件1

500万円以上の自己資本を有する(預金残高または直近の貸借対照表で証明)

条件2

≪更新の場合≫許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する

④欠格要件に該当しないこと

法人であれば役員全員、個人事業主については本人について以下要件のいずれかに該当した場合、許可を受けることができません。

欠格要件1

自己破産者

欠格要件2

建設業の許可取り消し経験あり

欠格要件3

建設業の営業停止処分を受けた経験あり

欠格条件4

暴力団と関係あり

※ほかにも多々条件ありますがここでは割愛します。

⑤誠実性があること

これについても法人なら役員全員が、個人事業主なら本人が対象になります。

「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」の場合に誠実性なしと判断されますが、よっぽどのことがない限りこの要件に引っかかることはないかと思います。

⑥適切な社会保険に加入していること

これについては許可申請者が法人であるか個人事業主であるかによって要件が異なりますが、きちんと必要な健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入しているかを確認されます。

弊所にご依頼いただく場合、面談時に社会保険の加入状況をお伺いしたうえで要件を満たしているかどうかを検討・判断いたします。

⑦営業を行う事業所を有すること

大阪府の場合、以下の条件を満たす必要があります。

条件1

事務所など建設業の営業を行うべき場所を常時使用する権限を有していること

条件2

建物の外観又は入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること

条件3

固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること

条件4

許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに法第 40 条に基づく標識(建設業の許可票)を掲げていること

条件5

支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されていること

条件6

専任技術者が営業所に常勤して専らその職務に従事していること

いろいろややこしい建設業許可、まるっと弊所にお任せください!

これまでいろいろ見てきましたが、建設業許可は必要な書類がとても多いうえ、調整力が必要な大変な業務です。

これらの手続を個人事業主や法人の担当者レベルで適切に行うのはかなり大変というのが正直なところ。。。

その点、弊所にご依頼いただければ必要な書類の収集から作成、提出までまとめて代行いたします!

どうしてもお客さまに収集いただかなければいけない書類もありますが、これについても可能な限りのフォローをいたします!

新規・更新はもちろん、業種追加決算変更経営事項審査申請など幅広く対応可能ですので、お気軽に行政書士としま事務所にご連絡いただければ幸いです!