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終活の悩み・相続の疑問をまるっと解決!読んであんしん終活セミナー~第3回:相続の基礎知識~

目安時間 9分

これまで終活に関する以下のテーマについてみてきました。

第1回:遺言・相続を取り巻く環境

第2回:終活って何をすればいい?

終活においては、①元気なうち、②認知症になってしまったあと、③死後の3ステップに分けて、それぞれのステップ間で切れ目が生じてしまわないように考えることが大切であることがわかっていただけたかと思います。

任意後見や委任3兄弟については前回詳細にお伝えしましたが、認知症になってしまう前に確かに効力を有する遺言書を締結することが重要です。

これから遺言書について検討するわけですが、より深く考察するため、今回は相続についての基礎知識をお伝えしようと思います。

遺言については第4回と最終回で詳細にみることにしましょう。

①相続発生後の流れ

被相続人(亡くなった方)が死亡したときには相続が発生し、遺産は相続人に分配されます。

この際には、「有効な遺言が残されているかどうか」によって遺産分割協議(=遺産をどのように分けるかを相続人間で話し合って決める協議)の要否が決定されます。

上の図のとおり、遺言が適切に残されていた場合にはその内容に沿って遺産は相続され、残されていなかった場合には遺産分割協議を行って相続されることになるわけです。

ここで思い出してほしいことがあります。

遺産分割協議では話し合いで相続分を決めるわけですが、これがもめる原因になりかねません。

簡単な例をお示しします。

昨年息子が、そして昨日父親が息を引き取り、母親と娘が相続人である森下一家(家系図は以下のとおり、×は死亡の意味)

家族仲は非常によく、遺産分割協議をとおして「母親が全財産を相続する」ことに決まりそうだったそのとき、加奈の夫は加奈に以下のとおり伝えました。

この一言がきっかけで遺産分割協議は泥沼化してしまい、最終的に弁護士を介して裁判所に相続分を決定してもらうことに。

こういったことが珍しくないのが遺産分割協議、相続をもとにけんかになってしまってはとてもつらいですよね。

前回もお伝えしましたが、遺産分割協議は遺言によって回避することがもめないための鉄則

遺言書をきちんと書いて相続の"争族"化を防ぎましょう。

②法定相続分とは?

「被相続人が遺言を残さずに死亡した場合、誰がどれだけの遺産を相続するか」の目安が民法で定められており、これを法定相続分と呼びます。

文章で解説してもわかりにくいので、以下の表をご覧ください。

このように、被相続人が死亡した際に誰が生存しているかによって法定相続人とその相続分が決定されます。

配偶者は生存している限り必ず法定相続人になる点がポイントです(相続を放棄した場合などを除きます)

また、以下についてもとても大切な知識のため頭に入れておいた方がよいと思います。

ポイント
  • 子どもが死亡していても子どもの子ども(=孫)が生存していれば孫が法定相続人となる
  • 子どもがいない場合において両親が死亡していても両親の親(祖父・祖母)が生存していれば祖父母が法定相続人となる
  • 子どもも両親もいない場合において被相続人の兄弟姉妹が死亡している場合、兄弟姉妹の子ども(いとこ・はとこ)は法定相続人とならない

法定相続分についてお話しした際によくある質問は以下のとおり。

これに対する答えは「いいえ、この場合でも作成すべき」です。

法定相続分はあくまで相続分の目安を定めたにすぎないため、残された相続人がこのとおりに遺産分割するかどうかは相続人の協議次第。

そのため、たとえ法定相続分に沿った内容を検討している場合でも遺言を残しておくべきといえます。

③遺留分とは?

森下一家の相続に関する例を見た際、加奈の夫からの発言に「遺留分」という言葉が含まれておりました。

この「遺留分」という言葉、なかなか聞きなじみがないかと思いますが「兄弟姉妹を除く法定相続人が「少なくともこれだけの遺産はほしい!」と主張できる権利」とお考えいただければわかりやすいと思います。

では、誰がどれだけの遺留分を有するのかを表で見ていきましょう。

例えば法定相続人が配偶者と子どもの場合、それぞれ相続財産の1/4について遺留分を有します。

子どもや親が複数生存している場合には頭数で割るため、例えば子どもが3人いる場合にはそれぞれ1/4を3で割った割合(=1/12)だけの遺留分を有することになります。

遺留分について確認したところで、重要なポイントを2点ほどお伝えします。

(1)生前における遺留分の放棄は家庭裁判所の許可を得た場合に限り可能

ここでも具体例を挙げて検討してみようと思います。

3人の子どもの親である太郎と美香は遺言書の作成を検討中。

長男の拓夢と長女の一子は結婚して実家を出て暮らしている一方、次女の二子は仕事をしておらず実家で両親と同居していることから、夫婦に万一があった際にはできる限り次女に財産を残したいと考え、行政書士との話し合いのもと以下のような内容の遺言書を作成しました。

太郎(夫)の遺言書

全財産を妻の美香に相続させる。太郎の死亡時に妻がすでに死亡していた場合には、全財産を次女の二子に相続させる。

美香(妻)の遺言書

全財産を夫の太郎に相続させる。太郎の死亡時に妻がすでに死亡していた場合には、全財産を次女の二子に相続させる。

このような遺言書を作成すれば、夫婦のうちパートナーに先立たれた配偶者にいったん全財産が相続されたのち、最終的には次女に全財産が相続されるため、夫婦の願いを実現させることができます。

ただし、ここで遺留分の問題が・・・。

仮に夫⇒妻の順に亡くなった場合、以下のとおり遺留分を有することになります。

夫が亡くなった際、妻が亡くなった際ともに長男の拓夢、長女の一子は遺留分を有することになるため、上記のような遺言書を作成したとしても「遺留分があるはずだ!」と主張されてしまっては生前の願いを実現させることができなくなってしまいます

この際、例えば生前に夫婦と長男・長女の間で「遺留分に関する権利行使をしない」といった契約を締結したり遺言書の中で「遺留分に関する権利行使を控えてほしい」と記載したりしても法的な効果は生じません。

いっぽう、家庭裁判所の許可を得た場合には遺留分の放棄を行うことが可能なため、今回見たような事情がある場合には放棄を検討してもいいかもしれません。

なお、相続放棄については生前に行うことはできない点についても参考までにご紹介いたします。

(2)兄弟姉妹が法定相続人の場合、遺言を残せば全財産を配偶者に相続させることが確実に可能

遺留分の説明でお伝えしたとおり、兄弟姉妹には遺留分が認められません

ということは、法定相続人が被相続人の配偶者と兄弟姉妹だった場合(=子どもも両親もいない場合)、配偶者に全財産を相続させる旨の遺言書を作成しておけば遺留分侵害額請求権を行使されることなく遺志を実現させることができます

さいごに

遺言書について検討するにあたり、まずは相続に関する知識を紹介いたしました。

法定相続や遺留分についての知識があれば「"争族"化しない遺言書の作成」が可能なため、今回ご紹介した内容はぜひとも覚えておいてくださいね!

次回は「遺言書の基礎知識」についてわかりやすく説明しようと思います。

今回もセミナーにご参加いただきありがとうございました、次回もお楽しみに!